お洋服や各パーツの作りを、小さなコツなどをご紹介しています。
よろしければ、参考になさってください。
⑪背縫い線が入っている後見頃の縦地の取り方
背縫い線とは、背中からウエスト、ヒップの身体のラインに後見頃が沿うように、後見頃の
中心線を内側へ少し削った線です。
minimumの型紙には、横や後からの姿が美しくなるよう、この背縫い線がよく使われています。つまり、後中心線が直線ではないということです。
この場合、どこを基準に縦の線を決めればいいのでしょうか?
①まず、洋裁あれこれ③の方法で地の目を揃えます。
その後、布を図のように端から均等に折ります。
この時、念のため織り糸が真っすぐになっているか目でもチェックしてください。
これは、前見頃の時も同様です。
②続いて、布の環(手前の折った線)から図の赤い〇の箇所 (後ネックポイントとスリット
開始位置)を均等に置き、ピンで留めます。
③これで、後中心がおおよそ縦地に沿った状態で裁断できます。
⑫スラッシュ開きの作り方
スラッシュ開きとは、写真の切り込みのような開きのことを言います。
前に入れてデザインのアクセントにしたり、後に入れて頭が通るよう襟ぐりを広げる機能的な
役割もします。
今回は、前見頃にスラッシュ開きを作る手順で解説します
① 前見返しの型紙を作る
前見返しの型紙は、図のように開き止まりから1.5㎝程度下 がったところでカーブする
ような形にする。
スラッシュのミシン線は、開き幅と深さによって決める。
ただし、開き止まり部分は、開き止まりの1㎜下をU字に通るようにする。
V字だときれいに返らないので、必ずU字。 縫い代は、肩と襟ぐりに1㎝取る
② ①の型紙を基に、見返しを裁断する。見返しはバイヤス地で取る
※バイヤス地とは、布の縦糸と横糸が垂直になるよう折った時の角度45度の布の向き
⇒襟ぐりの見返しは、バイヤスの方がなじみがよくきれいに仕上がる
前見頃は、縦地で裁断する。肩と襟ぐりは見返しと同様1㎝の縫い代にしておくと、
縫いやすい
③ 見返しに接着芯を貼り、ミシンで縫う実線を印付ける。この時、開き止まり部分の実線は、
必ずU字にする。 見返しの下側にロックミシンをかける。(今回は省略)
見頃側にも、印を付ける
④ 見返しと見頃を中表で合わせ、ミシン線の1㎜外側を縫う。
前中心のU字部分になったら、ミシン目を細かくしゆっくりとカーブする。
⑤ 縫い代を5㎜に切りそろえ、襟ぐりのカーブ部分に切り込みを入れる。
スラッシュの中心線も、ミシン目ギリギリまで切り込みを入れる。
開き止まりの点を超えても問題なし、ただしミシン目は切らないこと
切り離したスラッシュの角は、斜めに切り落とす
⑥ 見頃を上にして袖万十の上に置き、画像のようにミシン目が見えるラインで見返しの
縫い代を返し、アイロンをかける
⑦ 見返しを表に返し、スラッシュの角を出す。この時、目打ちで角をほじくり出そうとせずに、
目打ちを角に当てたら反対の布をゆっくりと引っ張るようにして角を整える。
その他の部分も、見返しが表に出ないように整えアイロンをかける。
スラッシュの中心部分は、ミシン目ギリギリまで切り込みが入っていないとつれるので、
つれる場合は再度確認する
⑧ スラッシュ部分や見返しが整ったら、布端にコバステッチをかける。
この時、スラッシュの中心部分は、④同様にミシン目を細かくする。
⑬起毛素材(合皮スエード)の取り扱いについて①
起毛素材や合皮スエードを縫うときの小さなコツです。
生地によって繊維の構成が異なりますので、以下の方法ですべて解決するとは言えませんが、
参考までに今回の対応策を載せておきます。
①ミシンのアタッチメントを上送り押さえに変える
上送り押さえは、縫いにくい布(ビニールクロス・人工皮革・革)縫いズレやすい布地
(キルティング・ベルベット)等を縫う時に便利です。
②布の下に新聞紙を一枚かませる これも、布送りに役立ちます
③通常(11号)の針が通りにくい目の詰まった薄手の合皮の場合、針を細い針に交換(9号)
但し、布の重なりが増えた場合は通常の針に変える
④上糸を若干強めに調整
⑬起毛素材(合皮スエード)の取り扱いについて②
起毛素材を裁断する時の注意点についてです。
ベロアやスエード、コーデユロイ等の毛足の長い生地には、毛並み(毛の流れる方向)があります。
並毛: 毛足と同じ方向(撫でたときスルッとします)光を反射し色が明るく見えます。
逆毛: 毛足と反対の方向(撫でたとき抵抗を感じザラッとします)
光を吸収し並毛より色が濃く見えます。
なので、裁断する時にこの向きがパーツによって異なってしまうと、出来上がった時に前見頃と
後見頃の色が違うといった現象がおきてしまうのです。
以前は、色が濃く見える逆毛が主流だったようですが、最近では洋服のイメージによってどちら
でも裁断されていますので、布を身体に当てて撫でてみてお好きな方を選んでください。
そして、裁断時には必ず一方方向で裁断してください。
⑭パッチポケットの角の作り方
パッチポケットとは、ポケット布を成型してから表に縫い付けるポケットのことです。
このポケットを作るときに、単純に両端の布を内側に折り込んで、上下の布を内側に
折り込むと一ヶ所に布が集中し盛り上がってしまいますね。
こうなると、見た目もさることながら縫い目も歪みやすくなります。
そこで、今回はこれを解消し、できる限り高低差のない仕上がりにするポケットの角の
作り方を紹介します。
①まずは、ポケットの4辺の縫い代部分(裏)に接着芯を貼ります。
②角の出来上がり線同士を、角を支点にして中表で合わせます。
(出来上がり線上を1本のピンで留めて押さえる)
③出来上がり線上のピンを軸に折りたたむ たたんだ時にできる下図の斜めの線を印付ける
④③でできた斜めの線をミシンで縫い、余分な縫い代を図の様に切り落とす
⑤縫い代に割アイロンをかけ、ポケット布を表に返す
⑮短冊開き(ヘンリーネック)
短冊開きとは、写真のように前中心に短冊のような縦長の別布を縫い付けて作る開き
のことです。ヘンリーネックとも言います。
首周りを広げるという実用性はさることながら首元に縦のラインが入ることで、
デザイン性もぐっと上がりますので、お勧めです。
今回は、まずベーシックな作り方を紹介していきます。
サイズ:短冊の幅2㎝、長さ11㎝
最後に、補足として開き口がきれいに見える作り方も併記しておきます。
①まずは、画像のように短冊布を左右2つ用意します。
13.5×6㎝を2枚、最後に布がもたつかないよう 角を一部切り落とします。
斜線部分に接着芯(2×13㎝)を貼ります。
②見頃を裏返し、中心に短冊幅より1㎜大きい接着芯を貼ります。(2.2×13㎝)
③見頃を表にし、短冊を中表で置き、中心線から1㎝の線を開き止まりまでミシンで
縫います。(今回は、短冊幅2㎝なので中心から1/2幅は1㎝。もし短冊幅が3㎝で
あれば、1.5㎝のラインを縫う)
④見頃の中心にY字型に切り込みを入れる。
開き止まりの1㎝程手前から分岐し、ミシン目ギリギリまで切り込みを入れる。
⑤短冊の外側の縫い代を、短冊幅より1㎜外側で折りアイロンで押さえておく。
切り込みを入れた見頃も折り込む。
⑥切り込んだ見頃の布を挟み込むように、短冊を半分に折る。
⑦ピンで留め、左右の短冊の両端にそれぞれ表からステッチをかける。
⑧短冊布の下部分を全て内側に入れ(右側の短冊が上に来るように重ねる)、切り込んだ
見頃の三角の布を画像の様に合わせ、三角の底辺をミシンで2~3回縫う。
⑨表から短冊開きの付け根部分に四角くステッチを入れるとさらに補強される。
この後、襟を付けて完成させる。
☆補足☆
開きを横から見た時に、縫い目がなるべく見えないようにするためには、⑦の作業の
前に襟を付け、短冊で襟を包みこんで最後にステッチをかけると良い。
左は先に襟を付け最後にステッチをした場合。右はステッチのあと、最後に襟を付けた場合
⑯薄い布を縫うとき
春夏には、薄くて柔らかい繊細な生地で色々と作りたくなりますね。
ただ、そういう生地を縫う場合、糸や針を薄布用にしても、縫い目が揺らいでしまったり、
生地に引攣りが起きてしまったりすることがあります。
そんな時、薄紙(洋服などの包装紙)や型紙用の薄いハトロン紙などを挟んで縫うと安定
します。また、針は新しいものに替えることをお勧めします。(薄布用)
そして、縫った後は縫い目に直線定規を当て縫い目を押さえながら少しずつ紙を切り
外していきます。縫い目に変な力がかかってしまわないように慎重に行い、最後は
アイロンで縫い目を整えます。
素材によってはこの方法で問題が解消しない場合もあるかと思いますが、良かったら
お試しください。
⑰縦型ポシェットの作り方
簡単ですが、参考までに出来上がりサイズと型紙をご案内します。
※表示の型紙は1㎝の縫い代付きです。
出来上がりサイズ(㎝):縦19x横11.4x奥行(マチ)4
材料:(表布)合皮 横30㎝x縦55㎝
(裏布)裏地 薄地が良い
PPテープ 2.5㎝幅x33㎝
縁取りグログランテープ 1.8㎝幅x25㎝
Dカン・紐留め・カニカン各2個
メタルボタン 2個
器具:厚地が縫えるミシンと厚地用針
ニッパー・ペンチ・アイロン
瞬間接着剤
①布を裁断
表布:ワの状態で高さ25㎝x幅17.4で底の両端を2㎝角カット
内布:ワの状態で高さ19㎝x幅17.4で底の両端を2㎝角カット
②ポケットを作る
ポケットの底をパッチポケットと同様に作る(洋裁あれこれ⑭参照)
ポケット口には、縁取りテープを縫いつける
出来上がったポケットを、表布に縫付ける
③ショルダー紐とハンドル紐を作る。
ショルダー紐は、縦55㎝をミシンで繋ぎ合わせて 1.1mにする
テープの長辺を上下それぞれ0.7㎝折込み、さらに半分に折って、端ミシン。
ハンドル紐は42㎝の紐を作ってから長さを半分にカット
④表布と内布のA辺を中表で合わせ、ハンドルを内側に挟んでミシンで縫う
⑤Aの縫い目を中表の状態で開く。
続いて、表布、内布の脇B辺をそれぞれ中表で合わせて縫う。
この時、内布のB辺は1つだけ、中央を10㎝程度縫わずに開けておく
⑥縫ったB辺に割アイロンをかけ、開く
⑦表布、内布の底Cをそれぞれ合わせて縫う
⑧開いているB辺から布を引き出し、表に返す表布の口を出来上がり線で折込み
アイロンで整える
⑨PPテープをバッグの上部に当て、長さを決める。
両端を縫って、輪の状態にしてバッグの上部にピンチで仮留めしておく
⑩Dカン用の紐を作る。縁取りテープを半分にして縫い、5㎝を2本用意
⑪⑩のテープにDカンを通して、仮留めしたPPテープと表布の間に挟む(バッグの両端)
⑪バッグを裏に返す。(この方が縫いやすい)
ハンドルも整えて仮留めし、PPテープの上下を端ミシンで縫う。
⑫内布の開いている箇所(B’)を纏るか、ミシンで縫う。
⑫バッグを表に返す。ショルダー紐の長さを決め端にカニカンを通し、紐留めをつぶして
両端を留める
⑬ボタンの足をニッパーでカットして接着剤で留めて完成!!
⑱前端裾などの角の仕上げ方
シャツやジャケット、コートなどの前端は、裾の折上げ分と、前端の見返し部分が何層
にも重なり、厚みが増してしまいます。(下図の丸で囲っている箇所)
特に、厚手の生地や三つ折りで仕上げたい場合などは、角だけがボコっと厚くなってしまい、
見た目の美しさが損なわれたり、ミシンでも縫いにくく縫い目が乱れてしまうことがあります。
例えば、ただ折り返しただけの場合はこんな感じです。
①裾折り上げ(二つ折り)x前端折り返し(二つ折り)
↑ちょっと開いてみると布が2×2で4枚重なっています
②裾三つ折りx前端折り返し(二つ折り)
↑ちょっと開いてみると布が3×2で6枚重なっています
③裾三つ折りx前端三つ折り(または比翼など)
↑ちょっと開いてみると布が3×3で9枚重なっています
この厚みを減らし、仕上りと縫いやすさを向上させる方法を紹介します。
今回は、分かりやすいように折り紙を使い、色の付いている面が表、白い面を裏とします。
<基本 ①裾折り上げx前端折り返しの場合>
まず①の折り線を開いてみるとこうなっています↓
この出来上がり線を目安に作業していきます。
1.前端の出来上がり線で中表にし、裾の出来上がり線をミシンで縫う(赤線)
2.裾側は縫い代1㎝残して、見頃側は開いている方を見返し幅の1/3程度残して切り落とす。
3.見返し部分の縫い代を、切り揃え角を斜めに切り落とす。ミシン目は切らないように注意
1 2 3
4.裾の縫い代を、上にあげて指で押さえながら表に返す。
<②裾三つ折りx前端折り返し(二つ折り)の場合>
基本は、①と同様です。切り落とす部分が少し変わります。
まず②の折り線を開いてみるとこうなっています↓
この出来上がり線を目安に作業していきます。
1.前端の出来上がり線で中表にし、裾の出来上がり線をミシンで縫う(赤線)
2.裾側は縫い代を三つ折りのひと幅分残して、見頃側は開いている方を見返し幅の
1/3程度残して切り落とす。
3.見返し部分の縫い代を、切り揃え角を斜めに切り落とす。ミシン目は切らないように注意
1 2 3
4.裾の縫い代を、上にあげて指で押さえながら表に返す。 裾を三つ折りにして仕上げる
<③裾三つ折りx前端三つ折り(または比翼など)の場合>
基本は、①②と同様です。縫う箇所、切り落とす部分が少し変わります。
まず③の折り線を開いてみるとこうなっています↓
この出来上がり線を目安に作業していきます。
1.前端の三つ折りを折れ線①で折った状態で中表にし、裾の出来上がり線(スソ折れ線②)を
ミシンで縫う(赤線)
2.裾側は縫い代を三つ折りのひと幅分残して、見頃側は折れ線①側を三つ折り幅の1/3程度
残して切り落とす。
3.見返し部分の縫い代を、切り揃え角を斜めに切り落とす。ミシン目は切らないように注意
1 2 3
4.裾の縫い代を、上にあげて指で押さえながら表に返す。
前端の三つ折り、裾の三つ折りを整えて仕上げる
以上が、【前端裾などの角の仕上げ方】です。
この方法を知っておくと、シャツやコートの前端裾だけでなく、色々な「角」で応用でき
仕上りがきれいになります。
例えば、こちらのスカートは裾が三つ折りxスリットの二つ折り
これは、ブラウスのスリット袖で、三つ折りx三つ折り
⑲ネックの開きを修正する方法
ネックの開きは、お洋服の印象を左右するとても重要な箇所ですね。
年齢や季節、お好みに応じてネックの開きを変えられたら、もっともっとお洋服づくりが
楽しくなるはず。
ネックの開きは、次のような方法で修正できます。(襟なしの場合)
例えば、首の下を1㎝上げて、首の横を1.5㎝寄せたい場合
①型紙の前中心を1㎝上げ、肩線を首側に1.5㎝延ばします。
②伸ばした線の先を、自然なラインでつなげます。
③後見頃も、肩線を1.5㎝延長し後中心とつなげます。
(後中心も上げたい場合は、好みの長さ上げる)
④この時、前後ともに中心は5㎜程直角に立ち上げます。
⑤これが、新しいネックラインになるので、そのラインで図のように新しく見返しも作ります。
⑳指で編むループの作り方
指で編んでいくループの作り方をご案内します。
スラッシュを作る時に、ループを挟んで縫う必要がなく、後から作れる便利な方法です。
①ボタン付け糸などの太い糸を長めに取り、針に通して玉結びをし、布の表に針を出す。
(2本どりでも良い)
②図のように糸を交差し、輪に下から親指と人差し指を入れて針側の糸をつまむ
③つまんだら、左手で針側の糸をピンと張り、右手の指で輪を広げるようにして結び目を
布ギリギリまで寄せる
④寄せたら、その結び目がずれないように気を付けながら、再び輪の中に親指と人差し指を
入れて、針側の糸をつまんで③と同様に結び目を締める。
⑤これを続けて、必要な長さの鎖をつくる。
⑥必要分できたら、輪に下から指を通し針ごと引き戻す。これで鎖編みが完了
⑦最初に出した針の場所から5㎜程度離して針を刺して、玉止めする。